建設業の許可

 建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。
ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。

「軽微な建設工事」とは、次の建設工事をいいます。

 [1]建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

  ●「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの
  ●「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの

 [2]建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

※上記金額には取引に係る
※消費税及び地方消費税の額を含みます。

許可の区分

許可の区分は、契約する場所、工事規模により大きく4つに大別されます。簡単に解説します。

1.大臣許可と知事許可(主に契約する場所)

 建設業の許可には、大臣許可知事許可の2種類があります。

1-1. 大臣許可
  • 対象:2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合に必要です。
  • 許可を出す主体:国土交通大臣が許可を出します。
  • :東京都に本店、大阪府に支店がある場合など。
1-2. 知事許可
  • 対象:1つの都道府県内にのみ営業所を設ける場合に必要です。
  • 許可を出す主体:都道府県知事が許可を出します。
  • :東京都内にのみ営業所がある場合。
1-3. (参考)営業所の定義

営業所とは、以下の要件を満たす場所を指します

  • 請負契約の見積、入札、契約締結などの実態的な業務を行っていること。
  • 電話、机、各種事務台帳などがあり、居住区分と明確に区分された事務室が設けられていること。
  • 契約に関する権限を付与された者が常勤していること。
  • 専任技術者が常勤していること。
1-4. (参考)許可の変更

同じ申請者が大臣許可と知事許可の両方を取得することはできません
ただし、許可を取得した後に「知事許可から大臣許可」や「大臣許可から知事許可」へ変更することは可能です。この変更を「許可換え新規」と呼びます。

1-5. (参考)工事の地域や規模に関する誤解

大臣許可と知事許可の違いによって、工事ができる地域や請負金額に差はありません。
知事許可でも全国どこでも工事を施工することが可能です。建設業の許可は、次に掲げる区分に従い、国土交通大臣または都道府県知事が許可を行います。

2.一般建設業と特定建設業(主に工事規模)

 建設業の許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2種類があります。

2-1. 一般建設業
  • 対象:下請け業者として工事を行う場合、または元請け業者として工事を受注しても、下請けに出さないか、下請けに出す金額が一定額未満の場合に必要です12
  • 下請け金額の基準:建築一式工事の場合は8,000万円未満、それ以外の工事の場合は5,000万円未満。
  • 専任技術者の要件:一般建設業の専任技術者は、一定の実務経験や資格を持つ者が必要です。
2-2. 特定建設業
  • 対象:元請け業者として工事を受注し、下請けに出す金額が一定額以上の場合に必要です。
  • 下請け金額の基準:建築一式工事の場合は8,000万円以上、それ以外の工事の場合は5,000万円以上。
  • 専任技術者の要件:特定建設業の専任技術者は、一般建設業の要件に加え、さらに厳しい資格や経験が求められます。例えば、1級施工管理技士や技術士などの資格が必要です。
  • 財産的基礎の要件:特定建設業では、資本金が2,000万円以上、自己資本が4,000万円以上など、財務基盤が厳しく求められます。

    *下請契約の締結に係る金額について、令和7年2月1日より、建築工事業の場合は7,000万円から、それ以外の場合は4,500万円からそれぞれ引き上げられました。
2-3. (参考)目的と背景

一般建設業(2-1):主に下請け業者としての役割を果たすための許可です。小規模な工事や自社で完結する工事に適しています。
特定建設業(2-2):元請け業者として大規模な工事を管理し、下請け業者に多額の工事を発注するための許可です。下請け業者の保護や工事の適正な施工を目的としています。

2-4. (参考)
  • 発注者から直接請け負う請負金額については、一般・特定に関わらず制限はありません。
  • 発注者から直接請け負った1件の工事が比較的規模の大きな工事であっても、その大半を自社で直接施工するなど、常時、下請契約の総額が4,500万円未満であれば、一般建設業の許可でも差し支えありません。
  • 上記の下請代金の制限は、発注者から直接請け負う建設工事(建設業者)に対するものであることから、下請負人として工事を施工する場合には、このような制限はかかりません。

3. 許可の対象となる業種

建設業の許可は、土木一式工事・建築一式工事の他、専門工事業27業種に分かれており、全29業種に分類されます

  1. 土木工事業
  2. 建築工事業
  3. 大工工事業
  4. 左官工事業
  5. とび・土工工事業
  6. 石工事業
  7. 屋根工事業
  8. 電気工事業
  9. 管工事業
  10. タイル・れんが・ブロック工事業
  11. 鋼構造物工事業
  12. 鉄筋工事業
  13. 舗装工事業
  14. しゅんせつ工事業
  15. 板金工事業
  16. ガラス工事業
  17. 塗装工事業
  18. 防水工事業
  19. 内装仕上工事業
  20. 機械器具設置工事業
  21. 熱絶縁工事業
  22. 電気通信工事業
  23. 造園工事業
  24. さく井工事業
  25. 建具工事業
  26. 水道施設工事業
  27. 消防施設工事業
  28. 清掃施設工事業
  29. 解体工事業

 実際に許可を取得するにあたっては、営業しようとする業種ごとに取得する必要がありますが、
同時に2つ以上の業種の許可を取得することもできますし、また、現在取得している許可業種とは別の業種について追加して取得することもできます。
建設工事の種類、工事内容及び許可業種の分類については、業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(PDF)の表をご覧下さい。

4.許可の有効期間

 建設業の許可の有効期間は、5年間です。
 このため、5年ごとに更新を受けなければ許可は失効します。
 なお、この更新の申請は、従前の許可の有効期間が満了する30日前までに更新の申請を行うことが必要です。

5. 許可を取る条件

許可を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 経営業務の管理責任者:建設業の経営に関する一定の経験を有する者。
  • 専任技術者:建設工事に関する専門的な知識と経験を有する者。
  • 誠実性:法令を遵守し、誠実に業務を行うこと。
  • 財産的基礎:適切な財務基盤を有すること。
  • 欠格要件:一定の欠格事由に該当しないこと。
  • 社会保険の加入:適正な社会保険に加入していること。

詳細については、国土交通省「許可の要件」をご覧ください。